勝負の世界に学ぶ、負けないための思考術

美乳山：

そうですね。勉強はからっきしだったもんで、相撲にしがみつくことしかできなかったんでしょうね。

たれ子：

でもプロの世界で上に行ける人なんてほんの一握りだし、道半ばで辞めていく人がほとんどでしょう？

美乳山：

ええ。これは大変な世界に入ってしまったな、と思うこともありました。

たれ子：

アマチュアとプロの違いは、やっぱりそこなんでしょうね。覚悟の差というか。

美乳山：

それなりの仕事をして飯を食っていくのは簡単です。でも男に生まれた以上、どんな世界でもやるからには一番を目指さないと。

たれ子：

腹をくくった男って、本当に素敵。

美乳山：

正直最近の『オンリーワンでいい』という風潮は、あまり好きじゃないんです。

たれ子：

いるいる……オンリーワンを口実に努力を放棄してるような人。

美乳山：

僕はそういう人から学ぶことはありません。

たれ子：

そのピリッとした感じ、いいわねぇ（笑）同感よ。

たれ子：

私お忍びで、初日の取組を見に行ってたのよ。

美乳山：

そうだったんですか。初日のことは……あまり語りたくないですね（笑）

たれ子：

モロだし事件があったのよ。

一同：

（笑）

美乳山：

まわしも気も緩んでたんでしょうね。

たれ子：

初日につまずくと、次の日も引きずっちゃうものなのかしら？

美乳山：

自分は元々引きずっちゃうタイプだったんです。順調に勝ち星を挙げていても、初黒星のその一敗でズルズルと崩れちゃったり。

たれ子：

『勢い』とか『波』って、些細なことでパタッと止まっちゃうのよね。

美乳山：

ええ。十両時代にすごく悩みましたね。このままじゃ上へあがれないなと。

たれ子：

どんな意識改革をしたのかしら。